2018年09月22日

春秋戦国 荀卿4 サイコパスは出世しやすいという事実は、孟子にも荀子にも不利なのではないか? 性善説・性悪説の限界

彼らは、周「封建」制の崩壊のなかでの、人間の生きかたの変化に直面することによって、道徳規範を支えるものとしての「性」を思索したのであり、しかもこの思索は、政治理想の根底に道徳意識を置こうとする「徳治」的発想によって、かきたてられるものであった。「性」についての思想家たちの議論が、社会・政治の激動のさなか、そして彼らの強固な「徳治」的政治意識と密着してなされたことを考慮してこそ、この論題に彼らが注入したエネルギーが理解できる。
(『荀子 (講談社学術文庫)』)

 私としては、人の性格は遺伝で大まかな方向性が決まる(残りは環境で決まる)ものだと思っておりますし、自閉症スペクトラムのように生まれつき他人の心を慮ることができない人が居ることも知っておりますから、性が善であるとも悪であるとも思っておりません。生まれつきのサイコパスであっても、法律を上手く利用して(他人はもっと上手く利用して)出世する人もおります(どうやら上級管理職に占めるサイコパスの割合は4%、傾向がある割合なら20%にも及ぶとする研究もあるようです)。その場合、孟軻的な性善説では説明できず、おそらく荀卿的にも受け入れがたい事実なのではないでしょうか。

 『韓非子―不信と打算の現実主義 』は、孟軻も荀卿も人の性が善か悪かを証明したかったわけではなく、人を善に導くには内にある善を花開かせるか、教育によって人為的に導入するのか、という方法論に過ぎなかったのではないかと指摘しています。教育方針を巡っての議論、という視点はとても面白いですね。

 これ以上深入りする気はありませんので、詳しく知りたい方はこの辺りの本をお読みいただければと思います。

 性善説・性悪説について随分引っ張ってしまいました。ただ、これだけでは、荀卿が興味深い人物だとは思えないでしょう。儒家らしく、人の生き方と政治体制について思索を巡らせた人物というに過ぎません。過去の流れからは違うことを主張したかも知れませんが、それを超えるものではないように思います。

荀子 (講談社学術文庫)
荀子 (講談社学術文庫)

韓非子―不信と打算の現実主義 (中公新書)
韓非子―不信と打算の現実主義 (中公新書)



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posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(2) | 春秋戦国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
正確については教育でどうしようもないのかもしれない。
賞罰でコントロールするしかないかもしれない。
サイコパスならそういうのに食いつきやすいんじゃないかな
Posted by kfe at 2018年09月22日 12:26
kfeさん、コメントありがとうございます!
荀子や孟子には想像もつかなかったことでしょうが、性格のおおまかな方向性は遺伝で決まることは間違いないと思います。
サイコパスは生まれついての気質ですので、仰る通り賞罰のように目で見える形での罰がないとダメなように思います。
こちらまでそれに振り回されるのは溜まったものではありませんが……。
Posted by 仲井 智史 at 2018年09月22日 23:46
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