2017年07月14日

キリスト教の成立 教団の成立 『正しい人ヨセフと妻アセナトの物語』なる謎めいた物語

 一方で、歴史の皮肉としか思えないこともあります。ローマから大弾圧を受け、キリスト教を信仰しているだけで死刑になる苦しみを味わったはずのキリスト教会は、権力を握るや否や凄惨な内ゲバに走ったことです。異端者はただ正統派と異なる理念を信奉するだけで命を失うリスクを負うようになったのです。

 異端とされた人々は惨殺され、その持つ本は焼かれたのです。だからこそ、ナグ・ハマディ写本は隠されなければなりませんでした。イエスはラビと呼ばれていたのですから結婚していたことは当然なのに、正統派には都合が悪いので隠蔽されました。正統派の教えに都合の悪い事実は隠蔽され、あるいは書き換えられ、存在しなかった事実が捏造されていったのです。

 キリスト教の成立を扱うこの項の最後に、こうした理由から隠された、ある文書に触れておくことにしましょう。

 それは長い間エジプトのマカリオス修道院に保管され、1847年に大英博物館に収められた古文書に含まれる、『正しい人ヨセフと妻アセナトの物語』という物語です。

 この物語は550年頃に古代ギリシア語からシリア語に翻訳されたものであることが添え状から判明しています。写本元は2世紀または1世紀にまで遡ることができそうだと思われるとのことです。翻訳にあたったインジラのモーセなる人物は、文書の秘密は命を危険に晒しかねないものと警告しています。そして、警告の文書も途中で切り取られているのですから、危惧は的外れではなかったようです。幸い、「この文書には隠された意味がある」と書いているところは残っていますので、あとは何が隠されているのかが読み解ければ良いということになります。

 ユダヤ人の項で紹介した通り、ヨセフは兄弟たちの嫉妬を買い、ラクダがまだ家畜化されていなかった時代にも関わらずラクダの商隊に売り渡され、エジプトに渡った人物です。

 『正しい人ヨセフと妻アセナトの物語』では、ヨセフはファラオの相談役であるポティファルの娘アセナトと結ばれます。彼女は塔に住み、ユダヤ教徒ではないことが示されます。アセナトは最初に父からはヨセフと結婚しろと言われた際には拒絶するのですが、後光の差すヨセフを見ると後悔にとらわれ、結婚を望むようになります。紆余曲折を経て2人は結ばれ、子どもにも恵まれます。

 ファラオの息子はアセナトの美しさに心を奪われ、ヨセフと子どもを殺してアセナとを誘拐しようとします。陰謀は露見し、ファラオの息子は傷つきます。彼は釈放されるのですが、ファラオのところへ戻っても傷は癒えること無く、死を迎えます。

 物語はここで唐突に終りを迎えます。


面白いと思ったら押して下さると嬉しゅうございます^^

人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | キリスト教の成立 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/451654277

この記事へのトラックバック
面白いと思ったら押して下さると嬉しゅうございます^^
人気ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村