2016年03月06日

ブックガイド29 アレクサンドロス3世の生涯

 予約投稿していた記事が切れていることに気がついたのは今日でした。楽しみにされていた方(いらっしゃるのでしょうか^^;)、申し訳ありません。

アレクサンドロスの征服と神話 (興亡の世界史) -
アレクサンドロスの征服と神話 (興亡の世界史) -

 アレクサンドロス3世が僅か1代で大帝国を築いたこと、彼の帝国を継承したものがアレクサンドロス3世とは血縁関係に無かったことから、彼を偉大なリーダーとしてその業績を引き継ぐのは自分だと後継者たちが政治的利用を図ったことから、アレクサンドロス3世はあっという間に伝説の人物となりました。

 アレクサンドロス3世について知るためには、同時代の記録が散逸してしまっていることから、伝説が少なからず入り込んでいるローマ時代の記録を漁らなければなりません。畢竟、その正確な姿を知ることは不可能となっています。

 こちらの本は、文献学等の力を駆使して伝説を極力排しながらアレクサンドロス3世の実情に迫ろうとしています。数少ない日本のアレクサンドロス3世専門家ということもあり、読みやすく史実を知ることができる良い機会です。



アレクサンドロス大王―「世界征服者」の虚像と実像 (講談社選書メチエ) -
アレクサンドロス大王―「世界征服者」の虚像と実像 (講談社選書メチエ) -

 こちらも上で紹介したのと同じ著者によるもので、その分、重なるところは多くあります。ただ、対ペルシア3大会戦である、グラニコス川の戦い、イッソスの戦い、ガウガメラの戦いについては前述書より詳しく書かれています。

 戦争に明け暮れ、勝利によって歴史に名を刻みこんだアレクサンドロス3世について知るためには、こうした戦いの記録を追いかけることが必要となるでしょう。実際、戦いぶりに彼の性格が色濃く反映されています。

 アレクサンドロス3世の生涯を一通り知った後で、会戦の模様を詳しく知りたい方にはうってつけでしょう。


王宮炎上―アレクサンドロス大王とペルセポリス (歴史文化ライブラリー) -
王宮炎上―アレクサンドロス大王とペルセポリス (歴史文化ライブラリー) -

 上述の2冊と同じく、アレクサンドロス3世を専門に研究している森谷公俊帝京大学文学部史学科教授の手になるものです。

 本書が焦点を当てているのは、タイトル通りペルセポリスを焼き尽くした事件です。当時ペルセポリスはマケドニアの占領下にありました。しかも、占領直後ではなく、占領に対する不満が爆発するような状況でもありませんでした。ペルセポリスを滅ぼすことはデメリットこそあれど、メリットは考えられません。だからこそ謎なのです。

 本書は発掘記録から明らかになった廃都ペルセポリスの姿から、炎上がなぜ、どのように起こったのかに迫っています。

 また、暗愚とされることの多いペルシアの最後の王、ダレイオス3世とはどのような人物だったのかにも迫っており、神話や伝説を排したアレクサンドロス3世の姿を知る一助となるのは間違いないでしょう。

 一方で、その性格上、アレクサンドロス3世の生涯の流れを知ることは不可能です。アレクサンドロス3世についてある程度の知識があるかた向けの本です。


大遠征アレキサンダーの野望―ギリシャからアジアへの旅 (Newton mook―Visual science series) -
大遠征アレキサンダーの野望―ギリシャからアジアへの旅 (Newton mook―Visual science series) -

 アレクサンドロス3世が辿った道のりは、マケドニアからインドに至る長大なものでした。

 著者はアレクサンドロス3世の辿った道を旅しながら、アレクサンドロス3世の遠征を追いかけてします。写真も豊富なので、読者は自分もアレクサンドロス3世の通った道がどのようなものだったのかを想像しながら読み進めることが出来ます。

 特に、戦場跡の写真を見ますと、この場所であの伝説の会戦が行われたのだと思って感慨深いものがあります。

 こちらも、その性格上、入門書というわけではありませんので、アレクサンドロス3世について一通りの流れを把握した後、更に興味があるなら読んでおくと理解が深まるように思います。
posted by 仲井 智史 at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ブックガイド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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