2016年02月15日

アレクサンドロス大王 フィロタス粛清 旧世代と新世代の対立の帰結か?側近フィロタス粛清される

 フィロタスは、フィリッポス2世の代からマケドニアに仕えて絶大な信頼を寄せられ、東征においても常にアレクサンドロス3世を支え続けたあのパルメニオンの息子です。本人も親衛騎兵隊の隊長という要職にあり、戦場では八面六臂の活躍を見せてきました。親子で東征を支えてきたと言えます。

 そのフィロタスの下に、アレクサンドロス3世暗殺計画の情報が入ります。

 ディムノスという若者が、アレクサンドロス3世暗殺の陰謀を巡らせます。彼は数人の仲間を引き入れることには成功するのですが、人数が多くなれば秘密は漏れやすくなります。ディムノスは同性の恋人、ニコマコスに参加を求めますが拒否されます。そしてニコマコスが兄弟のケバリノスに打ち明けたところ、ケバリノスは驚いて通報を図ります。当然、アレクサンドロス3世に直接知らせることは出来ません。そこで、毎日2回アレクサンドロス3世に伺候しているフィロタスへ報告を上げました。ところが、フィロタスは2度に渡る訴えを無視します。

 ケバリノスは同じ情報を武器庫管理官にも報告したため、こちらのルートからようやくアレクサンドロス3世は陰謀の存在を知らせることができました。露見を知ったディムノスは自殺します。

 暗殺計画の存在だけではなく、フィロタスが暗殺計画を知りながら通報しなかったことも、アレクサンドロス3世の知るところとなります。エジプト滞在中にもフィロタスが暗殺計画に関与するという噂があったことも彼には不利に働きました。

 フィロタスは逮捕され、ヘファイスティオンたちから拷問を受けます。そして自白に追いやられ、裁判にかけられます。フィロタスは取るに足らないことだと思ったのだと弁明するのですが容れられず、処刑されました。

 自分の主君に対する暗殺計画があることを知りつつ事態の推移を見守ろうとするのは異常なことです。彼が直接関与していたという証拠はありませんが、あるいは、暗殺計画が成功するなら成功するで構わないので様子を見ようとしたのでしょうか。この時点でアレクサンドロス3世には世継ぎが居ません。もし暗殺が成功すれば、本国に残置した兵力より遥かに強大な遠征軍は誰もが認めるNo.2のパルメニオンが掌握することになるでしょう。当然、フィロタスの立場も有利になります。

 一方、彼は陥れられた可能性があります。側近護衛官という要職で、最大の決戦兵力である騎兵隊を率いている朋友。例えば台頭しつつ有る若手がパルメニオン一族を重んじつつも疎ましく思い、一族を排除しようとしたのかもしれません。

 フィロタスは傲慢で敵を多く抱えていたことも失脚の背景にありました。騎兵隊の指揮官という最高位の存在で、戦場での働きは文句のつけようもありません。気前も良かったようですから、部下からはさぞ慕われたことでしょう。一方で、贅沢で尊大な性格でもありました。愛人とした女性相手にアレクサンドロス3世を小僧と呼んでみせ、アレクサンドロス3世の今の地位は自分たちのお陰だと吹聴したこともあります。この話はアレクサンドロス3世の耳に入り、アレクサンドロス3世はフィロタスの愛人をスパイとして彼の動向を探らせていました。

 部下には寛大で上官クラスには傲慢という性格は三国志の関羽のようです。

 また、彼には後ろ盾となる人物が父のパルメニオンしか居なかったことも、粛清を容易にさせました。フィロタスには弟が2人いたのですが、1人はエジプト遠征時にナイル川で事故死し、もう1人は直前に病死していたのです。こうした情勢を鑑みてのことでしょう、フィロタスの妹を娶っていたコイノス(ファランクスの隊長として既に名前が出てきています)も、裁判ではフィロタスを糾弾する側に回る始末です。

 孤立無援の中でフィロタスは処刑されました。


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posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アレクサンドロス大王 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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