2015年12月24日

古代ギリシアの科学哲学 医学2 ヒポクラテスの誓いの先進性とその限界

 予想される通り、死亡率はかなり高い状態でした。『流行病』1,2巻42例中25例、5巻では奴隷19例中12例が死亡しているそうです。巻によっては治癒率より死亡率が高いわけですから、相当な高率ですね。それでも、彼らが考えようによっては自分を売り込むには不利になりかねない死亡例もきちんと報告することで医学は発展してきました。

 奴隷相手の治癒率があることから見て取れるように奴隷でも外国人でも治療を行っていたようです。彼らの治療費がどうやって払われたのかが気になるところですね。支払いについて心配させるなという文句もあるそうで、

 ヒポクラテスの残した文書のうち、最も有名なのが医者の心得を記した「ヒポクラテスの誓い」です。ウィキペディアの同項から引用しましょう。

医の神アポロン、アスクレーピオス、ヒギエイア、パナケイア、及び全ての神々よ。私自身の能力と判断に従って、この誓約を守ることを誓う。

この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。

師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。

著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。

自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。

依頼されても人を殺す薬を与えない。

同様に婦人を流産させる道具を与えない。

生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。

どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。

医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。

この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術とを享受し、全ての人から尊敬されるであろう!

しかし、万が一、この誓いを破る時、私はその反対の運命を賜るだろう。


 ヒポクラテスの誓いは現代でも医学部教育で教えられることもあるという理由がよく分かる、先進的な内容ですね。

 ただ、先進的な医療にはどうしても実験的な側面もありますし、それが無ければ医療の進歩も無いわけですから、ヒポクラテスの時代よりバランスを取りながら治療に当たらなければならないのが難しいところでしょう。

 リスクを全くゼロにすることはできないことを、私たちは理解しておく必要があると思います。

 ヒポクラテス達とは異なる学派の医者も居ました。クニドス派と呼ばれる流派は実証を重んじました。腎臓や頭部の切開が記録にあります。頭部切開は頭蓋内の出血のために失明しそうな時に、頭蓋を切開して血を排除するために行われたそうです。治癒例も報告されているとのことですので、想像以上に治療術は発達していたのですね。手術には用途に応じて凸状メスと尖状メスが使われたそうです。

 先人たちの知識の積み重ねの上に現代医療があるわけですから、彼らにはどれほど感謝してもし足りない気がします。次に医療について触れるのはローマのガレノスになるでしょう。



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ラベル:ヒポクラテス
posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 古代ギリシアの科学哲学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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