2015年12月17日

古代ギリシアの科学哲学 タレス3 タレスの時代の天文学

 こうして見ますと、彼の発見は日本の教育で言うところの中学レベルの幾何ですね。ギリシアの7賢人と謳われるほどの人が知恵を絞って辿り着いた知の世界を、10代で身につけることができることこそが、情報の持つ力でしょう。アインシュタインの相対性理論にしても、高校生レベルの物理学の知識で導くことができると言われます。それだけ新しい知の世界を拓くことは困難で、既に開けた知の世界を楽しむことは容易だということです。

 自然科学分野で言えば、日食を月が原因だと初めて主張したのもタレスです。更に、日食を予言したとも言われることもあります。ただ、食の時期を正確に知るためには天文の知識が欠かせません。ギリシアの当時の天文学に見るべきものはありませんから、恐らくはメソポタミアかエジプトの先進的な知識を得たのでしょう。タレスのエジプト行きはこうしたところでも彼の名声を高める役に立っているのですね。

 食の予言は他の地域から持ってきた知識であるとしても、彼の好奇心の広さは恐るべきものがあります。見習いたいものです。

 尚、月が太陽の光を反射して光っているというのもタレスの功績に帰せられる場合もあるそうですが、実際はアナクサゴラスとのことです。

 タレスは出身地である、小アジアのミレトスを中心に活躍しました。同時期に活躍したタレス、アナクシマンドロス、アナクシメネスに代表される自然科学者の一派を、ミレトス学派と呼びます。

 アナクシマンドロスは科学に関する本を残した最初の人です。タレスと同時期に、同じポリスで活躍したことは分かっていますが、師弟関係があったかどうかは不明です。

 タレスが世界の始原は水であるとしたのに対して、アナクシマンドロスは水では説明のできないものがあるからと、地、水、火、空気の4元素を唱えます。ファンタジーで地水火風を取り上げているのは、アナクシマンドロスの時代まで戻っていると言えないこともないかも知れません。

 アナクシマンドロスは天文学に関心を向けたようです。先に、月の光は太陽の光を反射しているものだとしたのがアナクシマンドロスだと書きましたね。他に、天は複数の円盤からなるとしたのも彼です。その円盤とは天の川、月、太陽で、地球の直径のそれぞれ9,18,27倍の位置にあるとしました。そんな彼の考える地球は円柱状でした。

 月の明かりについては正確だというのに、他は自分の思想に根拠もなく当てはめただけのように見えるのは事実ですが、一方で天文学を神話から自然学へと導いたのは間違いないでしょう。

 実のところ、アナクシマンドロスの天体モデルは(今日の知識では誤りですが)かなり上手く天体の動きを説明できます。惑星の動きを除きさえすれば。天動説から地動説という正しい結論に至るには、惑星の動きを的確に説明できる理論が大きな役割を果たしています。それを考えると、太陽系は地球から見える範囲に他の惑星を抱えているという、有難い環境なのかもしれません。

 他にも稲妻は風の結果、雷は雲に閉じ込められていて、脱出する際に雲の切れ目から光がもれて稲妻に見える、といったように、雷にも自然科学的な説明を与えようとしています。知の蓄積には小さな一歩でも科学の歩みには大きな飛翔だったとしたいと思います。

 自然学者と呼ばれた人々が何を唱えていたかを一々追いかけても、実際の自然を知ることはできない上に時間がかかるばかりですから、科学史に興味がある方はその手の本に当たって頂くことにして次に進みましょう。



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posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 古代ギリシアの科学哲学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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