2015年12月16日

古代ギリシアの科学哲学 タレス2 沖合の船までの距離を測る方法

 これらは研究熱心に過ぎた人のエピソードという感じを与えますが、次の2つのものは少々様相を異にします。

 ある時、自然哲学など何の役にも立たないでしょうと言われたタレスは、天文学からその年のオリーブが豊作であることを予想すると、オリーブの圧搾機をみな借りてしまいます。予想通り、その年のオリーブは豊作でしたので、タレスは圧搾機を貸し出しして大儲けしたと言われます。タレスにとって必要なのは、知的な探求であって金銭では無かったのですね。

 また別の時、ロバの背中に塩を載せて市場へ向かっていると、川にさしかかったところでロバが転んでしまいました。荷物が水に漬かってしまったため、塩がどんどん溶けて無くなってしまいました。荷物が軽くなったことにロバは味をしめ、次の日も同じように川で転びます。しかし、タレスの知恵はロバを遥かに上回りました。その翌日もロバは全く同じように川で転びますが、その日ロバが背負っていたのはカイメンでした、スポンジのようなものですから、水を吸って重くなります。これに懲りたロバは二度と水辺で転ばなくなったそうです。

 こちらの逸話からは、タレスが商売を営んでいたことが感じられます。タレスはエジプトに渡りますが、そのきっかけは商売だったのかもしれません。ツタンカーメンの墓から様々な産地のワインが収められた壷が発見されているように、地中海は活発に貿易が行われていましたから。

 とにかく、タレスはエジプトを訪れたことで、また有名な逸話を残すことになりました。

 その逸話こそ、ピラミッドの高さを測ったというものです。棒を地面に立て、棒とその影の長さが等しくなった時、ピラミッドの頂点が作る影を記録することで難問は解決されました。知ってしまえば当たり前の方法かもしれませんが、それまで多くの人は気づくことが出来なかったわけですから、タレスが名声を得るのは不思議な事ではありません。

 エジプトは、毎年繰り返されるナイル川の氾濫によって、耕作地が綺麗に飲み込まれてしまいます。ということは、毎年農地を平等に配分しなければなりませんから、測量技術が長足の進歩を遂げました。こうした数学が、次に紹介するタレスの功績に影響を与えていたのでしょう。

 それが、浜にいながら沖合の船までの距離を測る方法です。三角系の相似(その特殊解としての合同)を使うことで、海に一歩も入ること無く船までの距離を測量可能なのです。

 下の図を見て下さい。

沖合の船までの距離.jpg

……絵のセンスが無いのは気にしないでください。

 図の△ABCと△DBEは合同です。この場合、CBとEBを等しく設定してあげるのがポイントですね。そこで、例えばC地点からE地点まで200歩歩くとして、中央のB地点で棒を地面に立てます。E地点まで来たら、Dの方向に歩いて行き、棒と船が直線に並ぶようになったポイントがDです。

 船が遥か沖合にある、つまりACが大きい場合にはこの方法ではDEも非常に大きくなりますから、相似を使うべきでしょう。CBがEBの10倍になるように設定してやればDEの距離の10倍がACになるわけですね。これならかなり離れたところの物までの距離も分かります。

 数学関連では、他にも円は直径によって二分されることを示し、かつ直径の円周角は直角となることを見出しています。後者はタレスの定理として知られています。

 また、対頂角は等しいことや二等辺三角形の両底角は等しいこともまた、タレスが示したそうです。



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posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 古代ギリシアの科学哲学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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