2020年05月04日

後漢 紙の製法と性質 紙の剛性をもたらす水素結合のありがたみ

 後漢書(興味深いことに、後漢崩壊後の混乱期である三国志の方が先に書かれ、後漢書の成立は南宋をまたなければなりません)には、蔡倫が樹皮、麻、ボロ布、魚網から紙を作り出す方法を発見したと記されています。その作り方を『紙 二千年の歴史 - バスベインズ,ニコラス・A., Basbanes,Nicholas A., 芳江, 市中, 由美子, 御舩, 正弘, 尾形』から引用しておきます。

 中国で最初の紙は、范曄が記しているように、靭皮(樹皮の内側からすくい取った柔らかい線維性の内皮)と古い魚網、ぼろ布、網をほぐして集めた麻を混ぜたものからつくられた。蔡倫の方法によると、材料をすべて洗って水に漬け、木槌で細かく砕いたあと、きれいな水を入れた桶に入れて激しくかき混ぜ、ほぐされた細かい繊維が水中を漂うようにする。次に、繊維が浮く水をひしゃくですくい、粗布をぴんと張った四角形の竹枠(漉具)に上から均等に流し入れ、その枠を支柱と支柱の間につるす。


 水が滴り、あるいは蒸発して無くなると、紙が残されるというわけです。これらの細かな繊維は、水素結合で結びついています。水素結合とは、化学物質中の水酸基(-OH)が物質同士を緩く結合させる仕組みです。

 水酸基の中で、酸素原子(O)はややマイナスに、水素原子(H)はややプラスに帯電しています。そのため、ある分子の水素原子は、隣の原子の酸素原子にも吸引され、弱く結びつくのです。最も身近にある水素結合の一つは、間違いなく水です。水は水素原子2つと酸素原子1つが結びついた、分子量18という非常に軽い分子です。もし水素結合が存在しなければ、水はたとえば分子量71の塩素(沸点-34℃)はおろか、分子量28の窒素や分子量32の酸素よりも低い、-200℃程度だったことでしょう。生物が生まれる可能性はありません。水素結合に感謝ですね。

 さて、紙が発明されたのは蔡倫より世紀の単位で遡ることができることが明らかになりましたが、ではなぜ、蔡倫が紙の発明者とされるのでしょうか。

紙 二千年の歴史 - バスベインズ,ニコラス・A., Basbanes,Nicholas A., 芳江, 市中, 由美子, 御舩, 正弘, 尾形
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posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | 後漢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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