2020年01月12日

新 讖緯説 平帝の急死直後、「安漢公(王)莽に告げる、皇帝と為れ」と書かれた石が出現 奇跡をありがたがる讖緯説について

 同年12月、年末の大祭の蠟祭(ろうさい)で、神酒を飲んだ平帝が急死します。まだ若い平帝の急死について、漢書は「未央宮で崩ず」と記すのみです。しかし、平帝が王莽に母の衛一族を滅ぼされたことを恨んでいるとの噂を聞いた王莽が毒殺した、と言われます。

 事実がどうかは分かりませんが、まだ若い皇帝の急死と、その死により最大の利益を得たのが王莽であったという状況からすれば、王莽はいかにも怪しく見えます。王莽が鴆毒で平帝を毒殺した、という噂が流れたのも無理はないでしょう。

 未だ次の皇帝が決まらないこのタイミングで、武功の県庁の孟通なる者が井戸を掘ったところ、「告安漢公莽為皇帝」という文字が刻まれた上円下方の石が出現した、との報告が上がってきます。複数の読み方が可能ではありますが、「安漢公(王)莽に告げる、皇帝と為れ」と読めますね。

 現代に生きる私達には、王莽本人の差し金か、王莽の意を汲んだ何者かが仕組んだものか、あるいは王莽に阿って栄達を図ろうとしたものか、そのいずれかが仕組んだこととしか思えません。しかし、当時の人々には、また異なる考えを持っていました。讖緯説なるものです。

 讖緯説とは、予言や神秘を合理的に解釈しようという試みです。「讖」と「緯」は異なるもので、「讖」とは自然現象や、自然現象で生じた文字のこと、「緯」とは未来を予言する文書のことです。現代風に言えばオカルト、ということになるでしょうか。「このままでは世界は滅亡してしまう!」「な、なんだってー!」という会話が古代中国でも行われていたわけです。

 このうち、讖については秦代に隕石に「始皇死して天地分かれる」と書いてあったのを見て、隕石を溶かして近隣の人々を殺してしまった、という話で見ましたね。

 「緯」とは儒教の経典に対応する文書のことです。「経書に真理の大綱が述べられているとすれば、それが未来の国家・社会にいかに現れるかということは、緯書でしるされなければならない」(『秦漢帝国 (講談社学術文庫)』)とまとめられている通り、未来を予言する文書でした。


秦漢帝国 (講談社学術文庫)
秦漢帝国 (講談社学術文庫)


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posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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