2018年05月26日

春秋戦国 墨子7 一将功成りて万骨枯るの故事成語を生んだ漢詩 人民を自由にすれば争いばかり起こすという人間不信の哲学

 指導者が戦争に栄達を見る時、「一将功成りて万骨枯る」の言葉は常に正しいのです。この言葉の出典である漢詩もついでに書いておきましょう。





巳亥歳 巳亥の歳
沢国江山入戦図 沢国の江山戦図に入る
生民何計楽樵蘇 生民、何の計あって樵蘇を楽しまん
憑君莫話封侯事 君に憑う、封侯の事を話す莫れ
一将功成万骨枯 一将功成りて万骨枯る


 巳亥歳とは唐末の879年のことです。その前年、塩の専売に対して反乱を起こしていた王仙之は戦死していますが、黄巣の勢いは留まるところを知らず、各地を劫略していました。この詩は、唐末の詩人曹松が黄巣の乱で乱れた国を嘆いて読んだものです。曹松は70歳を越えてようやく科挙に合格しますが程なくして亡くなってしまうという不遇の人生を歩んだ人です。その晩年に襲いかかった不条理に、こうして嘆くしかなかったのでしょう。

 十論を見ると、お上には従えとあるのが浮いているように見えます。しかし、墨翟の中では非攻に繋がっていく考えです。

 墨翟が説くには、古の時代は統治機構も法も無かったため、人の数だけ正義があり、互いに非難しあったそうです。家庭の中ですら同じ状態で、意見の一致を見ることができずに相争ったに違いなく、その結果、己の利のみを追求するようになった、というのです。

昨日までの世界』等、文明化されていない社会について知るととても本当とは思えない内容ですが、墨翟はそう唱えたのです。

 個人主義による争いを鎮めるためには、国家が正邪を定め、官僚テクノクラートを整備しなければならない、というのが官僚の整備と、政府に従うべきという背景になっています。とはいえ、墨翟は為政者の言うことは必ず従うべき、としているわけではありません。統治者に過失があっても諌めないような者は処罰の対象だ、とあるのがその証しです。ただ、墨翟に従った場合には為政者が愚かだった場合の歯止めについて根拠が無いように見えるのは困りものです。

昨日までの世界(上) 文明の源流と人類の未来 (日経ビジネス人文庫)
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昨日までの世界(下) 文明の源流と人類の未来 (日経ビジネス人文庫)
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posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | 春秋戦国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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