2016年05月05日

ローマ プレ建国神話2 アイネイアス伝説を語り継いだエトルリア人とローマの先祖の物語

 ヌミトルには娘のレア・シルウィアが残されました。アムリウスは姪を殺しはしませんでしたが、炉の神ウェスタの神殿の巫女として隔離しました。ウェスタはギリシア神話における処女神ヘスティアに相当する神で、巫女は妊娠が禁じられていました。

 ところが、軍神マルスが彼女と交わり、子を宿してしまいます。レア・シルウィアの懐妊はアムリウスの知るところとなり、アムリウスは姪に監視を付けます。そして、レア・シルウィアは双子の男児を出産しました。

 その双子こそ、ロムルスとレムスです。

 ただ、年代を計算しますと、トロイ落城からロムルスとレムス誕生までは2世代程度しか無いとのことです。双子の母レア・シルウィアは、イリアとも呼ばれています。トロイ戦争を謳ったホメロスの著作が『イリアス』だったことを思い出して下さい。イリアの名前はトロイアと深く結びついて居ます。イリアの名前と年代計算から、実はアイネイアスの娘がイリアで、その息子がロムルスとレムスである可能性が浮上します。

 双子の祖父が兄弟間で激しい闘いを演じるのにはギリシア悲劇と共通する要素があります。トロイの英雄アガメムノンの一家が血で血を洗う争いを長く続けたことに見られるように。

 ローマ建設が本当にトロイア戦争を生き延びた人物によるものなのかどうかは疑わしいでしょう。しかし、トロイア系の名前が出てくること、ギリシア悲劇そのもののような骨肉の争いが見られることを考えますと、建国神話にはギリシア文化(トロイアの影響を考えるとエーゲ海文明と呼ぶほうが適切かもしれませんが)の影響があるのは事実だと思います。

 もう1つ興味深いのは、当時のローマ付近にロミリウスというエトルリア系の氏族がいたとされることです。同じく、エトルリア系氏族にルマがありました。こちらにはローマの語源になった、という説があるそうです。更にレムスはギリシアでローマの建国者とされたロモスをローマ人がこれまたエトルリア起源とされる氏族レムミウスに結びつけたとも言われます。

 興味深いのは、アイネイアスの神話を語り継いでいたのがエトルリア人であることでしょう。エトルリア人は非印欧語族だったこともあり、文化の全容は分かっていませんが、トロイア戦争の敗者であるところのアイネイアスを建国の祖に据えていることは彼らの死生観を表しているのかもしれません。それにしても、どうしてギリシアの神話的伝説のトロイア戦争からの伝承をエトルリア人が引き継いだのか、興味がそそられてなりません。トロイアから生き延びた者が海路ギリシアを通過してイタリアへ向かったのかと思うと、アイネイアス伝説はある程度の歴史的事実を反映していると思えないこともないですね。


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posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(1) | ローマ1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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