2015年10月01日

古代ギリシア 神話と伝説3 ギリシア神話に見える末子相続とオリュンポス12神

 このように、2代に渡って最年少の子が父を倒して王となるなやは、末子相続を表した神話とも言われます。但し、ギリシアに末子相続させていたとはっきりしているところはありません。他の地域からの神話を取り入れた結果かも知れません。例えばモンゴルでは末子相続が基本でした。末子が育つ前に、上の子たちはある程度のウマヤヒツジを分けてもらい独り立ちしていたため、最後に残った末子が残ったものを相続していたのです。例えばチンギスハンと正妻ボルテの間にはジュチ、チャガタイ、オゴタイ、トゥルイの4人の男子が生まれ、前3者はそれぞれ分封されて末子のトゥルイが遺産を相続しています。こうやって見ると、もしかしたらギリシア人の先祖は遊牧民としてヨーロッパに入ってきたのかも知れませんね。

 さて、勝利を収めたゼウスたちはくじを引き、その結果としてハデスが冥界を、ポセイドンが海を、そしてゼウスが天界を治めることになります。しかし、これはおかしな話です。なんとなれば、先に見た通り、ゼウスは天にいるからこそ役に立つ雷を、ハデスは冥界に相応しい死を象徴する帽子を、ポセイドンは魚を捕る際の銛としか思えないトライデントを贈られているからです。最初にゼウス、ハデス、ポセイドンの役割は決まっており、なぜ彼らが世界を分けあったのかは後付けの神話なのでしょう。

 ゼウスを始めとする神々の中でも中核的な存在がいる場所はオリュンポスと呼ばれ、そこには12柱の神がいるとされています。ただ、12柱を構成するメンバーは1通りに決まったわけではありませんので、多少の異同はあることを覚悟で書き出してみましょう。

名前性別血縁・家族その他
ヘスティア女神クロノスの子炉の神
デメテル女神クロノスの子
ペルセポネの母
豊穣の神
娘のペルセポネをハデスに奪われる
ヘラ女神クロノスの子
ゼウスの妻
結婚の神
嫉妬深く、浮気者のゼウスをしばしば怒る
ゼウス男神クロノスの子主神
無類の女好き(人、神問わず)
アフロディーテ女神切り落とされたウラノスのペニスから誕生
鍛冶の神ヘパイストスの妻
美の女神
アレスと浮気した現場を夫ヘパイストスに押さえられる
アポロン男神ゼウスとレトの子
アルテミスの双子の弟
芸術の神
羊飼いの守護神
アルテミス女神ゼウスとレトの子
アポロンの双子の姉
狩猟の神
後に月の女神にもなる
ヘパイストス男神ゼウスとヘラの子
(またはヘラが単独で生んだ子)
鍛冶屋の神
アテナ女神ゼウスの子知恵や戦いの神
処女神
アレス男神ゼウスとヘラの子戦いの神
粗暴なため父のゼウスからは嫌われる
ヘルメス男神ゼウスとマイアの子神々の伝令
計略の神
デュオニュソス男神ゼウスとセメレの子豊穣とワインと酩酊の神


 ハデスとポセイドンが入っていないのは、それぞれ冥界と海に領地があるためオリュンポスに居場所がないからです。


面白いと思ったら押して下さると嬉しゅうございます^^

人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 古代ギリシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月02日

古代ギリシア 神話と伝説4 美の女神アフロディテの浮気と技術者ヘファイストスの復讐

 女神と男神はちょうど半々なのですね。女性には権利の与えられていなかったギリシアで、オリュンポス12神の半分が女神というのは意外に思われます。アテナ、アルテミス、ヘスティアの3女神は奔放なアフロディーテと異なり、処女神です。女神6柱のうち3柱が処女、1柱が奔放というのはバランスに欠ける気がしなくもないのですが、いかがでしょう?

 鍛冶屋の神であるヘパイストスは足が不自由な醜男ということなのですが、美しさで知られるアフロデーテを娶っています。ヘパイストスはまさか自分が相手をしてもらえると思わなかったのでしょう。無関心な態度を取ったところ、そのような態度を取られたことのないアフロディーテは彼を結婚相手に選んだそうです。

 そこまでだったらギャップ萌えだとかなんだとかで説明できる、微笑ましい話だったかもしれません。実際、ヘパイストスはエンジニアの走りと言って良い、有能な職人でした。その腕は後に明らかになります。

 しかし、アフロディーテはヘパイストスに満足していたわけではありませんでいた。彼女はこっそりと、軍神アレスと浮気をしてしまうのです。しかも、子供までこさえる始末です。彼女の浮気はヘリオスの知るところとなりました。ヘリオスから事の次第を聞いたヘパイストスは、己の技能を用いて復讐することを決意します。

 準備を整えたヘパイストスは仕事で暫く戻れないと告げて家を出ます。何も知らないアフロディーテはいつものようにアレスをベッドに引きずり込んで甘い一時を過ごしていました。すると突然、特製の縄で、アフロディーテとアレスは抱き合った姿のまま雁字搦めにされてしまったのです。有能な職人ヘパイストスの罠でした。

 情けない2人の姿を、ヘパイストスを始めとする神々が嘲笑します。戒めを解かれたアレスはそそくさと領地へ逃げ帰り、アフロディーテも蟄居を命じられます。最終的に、ポセイドンの仲介もあって離婚に至ったそうですが、この際にヘパイストスはアレスから賠償を受け取っているそうです。まるで現在の離婚調停のような感じですね。人類のやっていることなど、何千年も前から変わっていないということでしょう。

 ちなみに、多情で嫉妬深いアフロディーテは東方起源で、シュメールのイナンナ、アッカドのイシュタル、カナンのアナト、フェニキアのアスタルテの系譜に連なる美の女神です。性愛の神ですから、多情なのも当然でしょう。

 神々のことはここで一区切りとし、地上の話に進みましょう。


面白いと思ったら押して下さると嬉しゅうございます^^

人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 古代ギリシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月03日

古代ギリシア 神話と伝説5 思い上がった人類を罰するために、ゼウスはパンドラを地上に送る

 ゼウスは地上に生命を満たす仕事に、ティターン族であるプロメテウス(先に知る者)を任じます。プロメテウスは弟のエピメテウス(後から知る者)と協力し、鳥や魚や獣を、最後に神々に似せて人間を創ります。神々に似せてというあたり、旧約聖書に似ていますね。

 生み出された生物に対し、鳥には羽を、魚にはウロコやヒレを、獣には鋭いツメや歯を、とプロメテウスは次々に授けていきます。最後に人間の番になりますが、困ったことにもう与えるものが残っていません。一計を案じたプロメテウスは、密かに天に上り、太陽の火を盗んで人間に授けます。

 火を手に入れ、他の獣の頂点に立った人間を罰するべく、ゼウスが送り込んだのが美しき女性パンドラ(あらゆる授かりものを持っているもの)でした。彼女はゼウスの指示に従いエピメテウスのもとを訪れます。

 このパンドラ、ゼウスが鍛冶屋の神ヘパイストスと女神アテナに命じて作らせたもので、神々からそれぞれ1つずつ美しい性質を与えられた存在でした。それが女であるというところに、女性を崇めた古代の風習を感じさせます。ギリシア神話でも旧約聖書同様に男は女より先に作られたのですね。彼女は上述の理由により、美しく、優雅で、器用で、説得力をも持っていました。しかし、ヘルメスが彼女の心に虚言と欺瞞を組み込んでおりました。ギリシア人が女性をどのような目で見ていたかが感じられますね。後にまた触れる通り、ギリシアでは女性の地位は低く、市民といえば男性のことであり、直接民主制のアテナイでも女性は投票権を与えられていませんでした。

 これより先、聡いプロメテウスはエピメテウスに対して、ゼウスからの贈り物は決して受け取ってはならないと言い聞かせていたのですが、後から知る者の名に相応しく、またこうした時の多くの男の例に漏れず、エピメテウスは喜んでパンドラを伴侶としてしまいます。

 ゼウスは美人ではあっても少々知恵の足りないパンドラに、決して開けてはいけないと告げて壷を渡していました。

 鶴の恩返し然り、振り返って街が滅ぶところを見てはならないと言われたロトの妻然り、お笑い芸人の熱湯芸(押すなよ、絶対押すなよ!というやつですね)然り、やるなと言われたらやりたくなるという人の愚かさをゼウスはよくご存じです。お約束通りに壷を開けると、不幸や悲しみが世の中に散らばってしまいました。壺の中にはただ希望が残るのみ。

 どうでも良いのですけど、どうして人間を罰するためのものを詰めた壺の中に希望があったのでしょう?それに、不幸や悲しみは壷から出て行ったから世界に存在するようになったのに、壷に残った希望もまた存在するのでしょう?よく分かりません。


面白いと思ったら押して下さると嬉しゅうございます^^

人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 古代ギリシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月04日

科学なニュース27 「シバガス」取り締まり強化=危険ドラッグ代替か−厚労省

 「シバガス」取り締まり強化=危険ドラッグ代替か−厚労省、こんなニュースが報じられています。

 「シバガス」とは、笑気ガスと呼ばれることもある亜酸化窒素のことです。笑気ガスの名は、吸うと顔の筋肉が弛緩して、あたかも笑っているかのような顔になるからとされています。ただ、多幸感があるらしく、昔はパーティーでも使われていそうですから、ドラッグとして使われる素地はあるのでしょう。

 亜酸化窒素は西洋医学における麻酔の歴史に深く関わっています。亜酸化窒素を吸って、ハイになった状態の時に怪我をしたことに、薬効が切れてから気がついた人がいたのがきっかけです。そこから麻酔が編み出されていきました。

 麻酔の開発後も、手術時の痛みは神が与えた試練で奪ってはならぬという外科医がいたりして、まだまだ病院は苦痛に満ちた場所でしたが、今では胃カメラでも麻酔が使われるほど患者が楽になっていることは嬉しいものです。

 麻酔の歴史を覗いてみると、そこには意図せざる多くの死者がいることにも気が付きます。手術は無事に終わったのに、二度と目を覚まさない患者が頻発したのです。麻酔の種類によっては、麻酔薬として働く領域と致死量との間が狭く、少々の濃度あるいは吸引時間の間違いが死に直結していたのです。

 厚労省によると、亜酸化窒素は「笑気ガス」とも呼ばれ、麻酔薬や鎮静薬として使われている。販売には都道府県知事の許可が必要で、ネット販売も認められていない。
 ネットで販売されている小型ボンベに詰めた商品について、厚労省は「自転車のタイヤに用いる合理性はなく規制逃れだ」と指摘。医薬品医療機器法違反(無許可販売)の恐れがあるとし、プロバイダーに販売サイトの削除要請を行うという。 
 海外では利用者が酸欠状態に陥って死亡したケースもあるといい、厚労省は「決して購入、使用しないでほしい」と呼び掛けている。


 今回の記事においても、亜酸化窒素による死亡事故の事例が紹介されています。海外のものとは言え、日本でも流行れば確実に死者を生むことでしょう。このような方法で多幸感を得るのではなく、もっと他の手段で幸せになる手段を探すべきなのかもしれませんね。例えば、楽しい本を読むとか。

 なお、麻酔の導入にあたった3人の栄光と、惨めな死を描いたノンフィクション『エーテル・デイ―麻酔法発明の日 (文春文庫) - 』で、麻酔黎明期の流れを知ることが出来ますので、興味がある方はご覧になって下さい。


エーテル・デイ―麻酔法発明の日 (文春文庫) -
エーテル・デイ―麻酔法発明の日 (文春文庫) -
posted by 仲井 智史 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学なニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

古代ギリシア 神話と伝説6 神を出し抜き人類の味方をするプロメテウスとギリシア版ノアの方舟

 さて、プロメテウスは火の他にも、人間に様々な贈り物をしてくれます。

 肉を食べることについても、神に捧げる生贄のうち、神々と人間の取り分を定める際にも彼が活躍したことが関係します。プロメテウスは骨を脂身で包んで美味しそうに見せる一方、肉と内臓の上から皮を被せ、更に胃袋を上に置くことで不味く見せます。ゼウスが見た目に騙されて骨と脂身を選んだため、肉と内臓は人間に残され、食べることができるようになりました。

 他にも天文、建築、数学と、多くの技能を人間に授けます。

 プロメテウスが勝手なことを出来たのは、ゼウスがどうしても知りたいことを彼だけが知りつつ、教えずに居たためです。

 それは、ゼウスもまた、我が子に王位を奪われると予言されており、プロメテウスはゼウスを破滅に導く子を生む女性の名を知っていたのです。ところが、ゼウスがどれほど頼んでもプロメテウスは教えません。ゼウスは下手に出ていたのですね。

 己の意向を無視した行動に、遂にゼウスの堪忍袋の緒が切れます。プロメテウスはコーカサスの山に鎖で縛り付けられ、毎朝オオワシに彼の肝臓をついばませます。夜の内に内蔵は治ってしまいますので、翌朝になると同じことが繰り返されます。こうして苦行は終わることなく続くのです。

 プロメテウスの苦難は、ゼウスの息子であるヘラクレスがオオワシを退治するまで続きます。お礼にプロメテウスはゼウスに結ばれてはいけない相手を教えて上げましたので、彼が王位を失うことは無さそうです。その顛末はもう少し後に書きます。

 さて、人類はだんだんと堕落していきます。黄金の時代、銀の時代、銅の時代、英雄の時代と、降るに従って人の性も悪くなれば、環境もまた悪くなっていきます。やがてゼウスの怒りは炸裂し、洪水を起こして人類を滅ぼそうと決意することになります。メソポタミアからフェニキアを通ってやってきた説話でしょう。

 9日9晩続いた洪水で、標高2,547メートルのパルナッソス山の山頂を僅かに残して世界は水没します。40日で5,000メートル級のアララテの山々を水没させたというのより、2倍も早いスピードです。旧約聖書のところで見た通り、あちらは5,000ミリの雨が降り続いた計算ですから、ギリシアでは時間あたり10,000ミリ、つまりは10メートルの降水量となります。滝ですね。


面白いと思ったら押して下さると嬉しゅうございます^^

人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
posted by 仲井 智史 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 古代ギリシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
面白いと思ったら押して下さると嬉しゅうございます^^
人気ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村