2015年07月01日

古代インド 謎の滅亡3 超古代核戦争の無理と現実的な解

 ダヴェンポートが主張した、800m四方にもなるガラス化した大地。彼はその場所を危険だとして遂に明かすことがありませんでした。そして、グーグルアースのようなテクノロジーでモヘンジョダロ付近を探しても、そのような場所は見つかりません。ガラス化した土地については、彼の言葉を信じるしか無いのです。これは凡そ学問的な態度とは相容れませんよね。情報は共有化し、誰もが検証できるようになってこそ、知は進んでいくのです。情報の秘匿、思わせぶりなだけではっきりした証拠を示さない態度では、とても信を置くことはできません。

 それでも、この大火が何らかの事実をベースにしている可能性はあります。火山の噴火や隕石の衝突です。後者については、2013年、ロシアのチェリャビンスク州に隕石が落ちた事件がありましたね。あれがもう少し大きな規模になっていれば、一つの街くらいなら破壊し尽くしてしまうでしょう。なにも核兵器を持ち出す必要はありません。

 ソドムとゴモラに関しては、地震による破壊に大火災が加わった可能性が、『古代文明の謎はどこまで解けたか T 失われた世界と驚異の建築物篇』で紹介されています。実際に、この地方で滅びた街、バブ・エ・ドゥラーには大火に襲われた証拠があります。ここがソドムあるいはゴモラなのかどうかは議論の余地がありますが。

 中東は地震の多発地帯でもあります。街を丸々焼きつくすことになったのは、天然資源があるかもしれません。地震によって地面の裂け目が生じ、そこから天然ガスが噴き出したなら、火災の勢いは恐るべきレベルだったでしょうから。

 同じようなことが、インドで起こったとして不思議があるでしょうか。インドもまた、地震の多発地帯です。インド亜大陸がユーラシアプレートに衝突してできたのがヒマラヤ山脈です。今もインド亜大陸はプレートの下に潜り込もうと運動を続け、それが地震を生みます。天然資源云々は措くとしても、レンガの家は耐震性に欠けますから、レンガの街で大地震が起これば都市が一瞬で潰れてしまうような大破局は起こったことでしょう。

 もっとも、ラーマーヤナに見える破壊の話は勧善懲悪的な物語だったり、自分たちの強さを吹聴するための神話に過ぎない可能性もありますから、そんなこともあるのかな、くらいに受け取っておくのが良さそうです。


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2015年07月02日

古代インド アーリア人の侵入1 インド神話

 話は逸れてしまいましたが、インダス文明は他の文明と大きく異なっていますから、文字が読めるように慣れば色々と発見がありそうですね。きっと、これまで分かったこと以上に面白い事実があることでしょう。この分野におけるシャンポリオン、あるいはシュリーマンのような人の出現を待ちたいと思います。

 最大の懸念は、灌漑によって地下水位が上がったことでモヘンジョダロが崩壊しつつあることでしょうか。最大級の都市が失われてしまえば、解明できることが少なくなることは間違い無さそうです。遺跡の保護についても待ったなしなので、今後の展開を見守ろうと思います。

 インダス文明の崩壊後、アーリア人がインドへ流入してきます。彼らはウマや二輪戦車、青銅製の武器といった、当時最先端の兵器を持っていましたから、インダス文明崩壊後のインドは太刀打ちできなかったことでしょう。

 アーリア人の支配後は言葉が解読されていることもあり、多くのことが分かっています。

 神話についても少し述べておきましょう。インド神話は複数の系統があり、全て多神教です。大別してヴェーダ神話、ウパニシャッド神話、プラーナ神話があります。

 神が多数いると言っても、神々の地位は平等ではありません。日本神話のアマテラスオオミカミやギリシア神話のゼウスのように、やはり力のある神がいました。そうした、力を持つ神の多くはアーリア人が奉じてきた神で、端役であったり悪役であったりするのは土着の神々だったり、多面的な性格のうち、暗黒面と見られる要素を多く持つ神が変貌した結果でした。

 前者の例としてはコブラ崇拝の要素がシヴァ神へ吸収され、ヘビの神ナーガはほとんどが悪魔の仲間になってしまいました。ナーガのこともあってか、インドは幻獣ドラゴンの生まれた地と呼ばれることもあるようです。ただ、世界各地でヘビやトカゲをモチーフにしたと見られるものがいて、様々な違いがありますから、インドで生まれたドラゴンが語り継がれる中で姿を変えていったというよりも、世界各地の幻獣がドラゴンという名前に集約しただけかもしれません。


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2015年07月03日

古代インド アーリア人の侵入2 神話とヘビ

 さて、後者の例はアスラがあります。後に3主神の一角を占めることになるインドラと敵対することもあったことがアスラを徐々に悪魔へと変えていきました。

 尚、インドに棲むのはインドコブラで、エジプトのアスプコブラとはやや異なるそうです。過去に触れた通り、エジプトでもコブラは信仰されていました。いずれも強力な毒の力を、人知の及ばぬ神の力と見たものでしょう。

 面白いのは、ナーガの王シェシャは崇拝の対象で、自らの尾を咥える姿で描かれた場合には永遠を象徴するというところです。ギリシアでもやはり己の尾を咥えるウロボロスが描かれ、死と再生を象徴していたところに、共通するイメージがありますね。

 ヘビは不老不死の酒を舐めたことで不死となり、舌が二股に分かれたと説明されます。不死のくだりについてはギルガメシュ叙事詩とも共通しますね。これは脱皮からのイメージかも知れませんし、エネルギー効率が低いため滅多に餌を摂らないことからかも知れません。

 インドにおいても火は崇拝の対象だったそうです。後にペルシアについて触れる際に拝火教とも呼ばれるゾロアスター教を取り上げますけれども、それと同じような信仰が同じアーリア系のインドにもあるのは面白いですね。

 印欧語族とのつながりについて言えば、天文学に関する知識や技能は西方から伝わったとされています。インドの保守性の高さから、西欧や中東からは失われていった古代ギリシアの天文学は生き残り、現代の研究に資するところがあるようです。最長の昼の長さと最短の昼の長さを3:2としているそうですが、この数値はバビロニアでは当てはまりますがインドでは正しくないそうですので、何もそこまで保守しなくても良いような気がします。

 とはいえ、インドでもただ伝統だけが語り継がれたわけではありません。

 紀元前6世紀頃には、ローカーヤタ派と呼ばれるグループは、世界は地・水・火・風の4元素からなるという、ギリシアを彷彿させる考えを持っていたそうです。また、来世やあの世を否定したというのも興味深いところです。来世がないならカルマもありません。ですから、彼らは身分制度も否定しました。そしてまた、魂の救済を信じていなかったが故に、現世を楽しもうと主張しました。今の世の中では違和感のない考え方のように感じられます。

 しかし、そうした考えは伝統的な考えを持つ人々から激しく排斥されました。ローカーヤタ派は無神論として非難され、国家や統治者を危うくさせているとされたようです。仏教においてもローカーヤタ派の主張を学ぶことは禁じられ、今では彼らの考えは批判者の文章の中からしか知ることができないそうです。


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2015年07月04日

古代インド アーリア人の侵入3 原子論の萌芽

 神を信じる側にも、神は世界を作ることはしたが、その後には世界に介入する必要がないという考えがあったそうです。遥か後の西洋で流行するようになる理神論に近いのは面白いですね。理神論でも、宇宙は神が作り、動きを与えはしたが、その後は介入していないとされました。ニュートンやデカルトといった、物理学者や数学者がからんでいるのでいずれ取り上げたいと思います。

 原子論に相当する議論として、先のローカーヤタ派と共通する地水火風に「空」を加えた5元素が世界を形作っているとされました。この考えは医療にも適用されたそうです。健康な人は5元素のバランスが取れており、何かが不足するとそれに応じた症状が出るとされたのです。『古代インドの科学思想』から、対応表を借用します。

 元素  質・属性  感覚  器官 
 地 香 嗅覚 鼻
 水 味 味覚 舌
 火 色 視覚 眼
 風 触 触覚 身(皮膚)
 空 音 聴覚 耳


 足りないものを補う際には水銀を含む金属が処方されたとも言いますので、患者が健康を取り戻すことができたか心配になります。ヨーロッパでは血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁のバランスが崩れることで病気になるとする4体液説が唱えられ、瀉血のような治療法が取られましたから、それと同程度に色々なことが考えられていたのは事実でしょう。

 また、これまで見てきたメソポタミアやエジプト同様に、辺の長さが3:4:5の三角形が直角三角形になることは知られており、利用されていました。円周率は3として扱われてきて、紀元前300年頃には3よりも大きいことは認識されていたようです。インドで数学が発展するのはもっと後の話で、三角法は6世紀の『スーリヤ・シッダーンタ』に書かれていたとの記録が残っています(『スーリヤ・シッダーンタ』そのものは失われており、他の文献が引用していることで知られています)。インドで三角法が発達した痕跡は、sinがサンスクリット語のjiva(ジーヴァ―)に由来するといったところに見ることが出来ます。

 7世紀にはブラーマグプタが日食や月食を太陽と地球と月の関係だと正しく認識していました。メソポタミアで触れた通り、628年に彼が記した『ブラーマ・スプタ・シッダーンタ』に0が史上初めて顔を出します。まだ1500年足らずの歴史しかないのですね。インドで0が記号化されたのは、無質の梵(ブラフマー)というどんな属性も持たない存在が想定されていたという思想的背景が指摘されます。インドの天文学はイスラームへも影響を与えました。

 しかし、近代科学に連なるような影響を、古代インドの科学は与えることが出来ませんでした。バラモンが強過ぎたのが影響したのかもしれません。


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2015年07月05日

科学なニュース15 長い牙、速く伸びる=サーベルタイガーの化石分析―米博物館

 アメリカの博物館で、サーベルタイガーの謎に一歩近づけるかもしれない研究成果が得られました。長い牙、速く伸びる=サーベルタイガーの化石分析―米博物館というニュースです。

 サーベルタイガー。新大陸で進化を重ね、人類が到達するよりも前に滅んでしまったネコ科の捕食者です。日本では直訳じゃないかとツッコみたくもなる剣歯虎と呼ばれる種は、名前の通り上顎の犬歯が異常な程に発達しています。彼らのトレードマークでもある歯の伸びるスピードについて、このように書かれています。

上顎から鋭く長い牙が突き出ているサーベルタイガー類の一種は、この牙(犬歯)が月に約6ミリも伸び、ほぼ同じ体格のライオンの2倍の速さだった可能性が高いことが分かった。米国のニューヨーク州立博物館や自然史博物館などの研究チームが化石を詳細に分析し、米科学誌プロスワンに2日発表した。


 生物の成長のスピードが2倍にもなるというのは驚くべきことです。彼らにとって、あの巨大な歯が重要だったことの証拠でしょう。しかし、意外なことにこの歯がなぜあんなにも大きいのかは、分かっていません。あの歯で噛み付くと、咬まれた相手には確かに致命的かもしれませんが、歯が折れてしまうリスクを抱えています。哺乳類は全て乳歯から永久歯に生え変わるようになっていますから、歯が折れてしまえばもう生えてくることはありません。

 ですので、鋭い歯をナイフのように使い、喉や腹を引き裂くようにしていたのではないか、という推測もあります。記事中でも、「このため、逃げたり抵抗したりする獲物を仕留めるのに牙を使うのではなく、喉や腹を切り裂き、弱るのを待ったとの見方がある」とある通りです。

 次に明らかにされるのは、彼らの狩りの実態でしょうか。はたまた、歯の意外な使い道でしょうか。いずれにせよ、今後が楽しみなニュースです。
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